芸能実演家・スタッフの活動と生活実態調査

就労環境

公開座談会「女性舞台スタッフの現状とこれから」

舞台公演を支える舞台技術の分野では、近年、女性スタッフが活躍するようになっています。しかし、30代で離職してしまう人が少なくないのは、業界としては損失でもあり、女性スタッフのキャリアをどう活かしていくかは課題のひとつです。女性の舞台監督、舞台照明家、舞台音響家(子どもがいる人2名を含む)の皆さんにお集まりいただき、仕事環境の課題などについて座談会を開いて意見交換しました。 2015年9月24日に開催した公開座談会をもとに構成(於:芸能花伝舎)

舞台装置設置の様子 舞台装置 舞台装置
写真協力:KAAT神奈川芸術劇場

女性スタッフで不利だと思ったこと、悩んだことはありますか?

もともと、劇場で働きたいという強い想いがあったし、この仕事に就く前から厳しい現場ということは分かっていたので、女性だからダメなんじゃないかというような考えはしたことがない。体力的に、男性ほど重いものが持てないということはあるけれども、女性だから向いてないというようなことはない。

むしろ、女性スタッフの方が向いているんじゃないかと思うことが多い。ただ、もともと男社会なので、女性が経営陣、組織の運営責任者として発言を求められるというようなことがほとんどないという気がする。

これまで、セクハラ的な扱いはあったし、見てきた。あっても、負けずに跳ね除けられる精神的な強さのある人だけが続けられているのではないか。体力的に跳ね返すのは、やはり、女性は不利だと思う。

女性スタッフは増えてきているけれども、結婚、妊娠、出産・育児といった節目で、
辞めてしまう人が多いという状況です。その障壁は何でしょうか?

まず、女性が家族を持ちながらも仕事を継続したいと思っていることを、周囲が理解していないのではないか。女性は家庭に入りたいと思うもの、入るべき、と考えている人が少なくない。

重いものを持ったり、動き回ったりする仕事なので、流産しやすい。実際には、子どもを持たない選択をしたのではなく、持てないという人も少なくないと思う。

舞台芸術のスタッフの仕事は、安定期に入る前の妊婦が従事するには、過酷な仕事環境。それにも関わらず、現場にいるまわりの人間が、男女共にそのことを十分に認識していない。そういう人に配慮できる体制ができていない。

妊娠・出産は命にかかわる特別なことだが、妊婦本人に自覚がなくムリをしている例もある。雇用、給与の問題も絡んでくる。

長時間拘束が当たり前の職種であることが、ネックになっているのではないか。女性だけでなく、男性の仕事の仕方、シフトのあり方も問題だと思う。

夜間の仕事も多いので、保育・託児へのサポート体制はもっと工夫が必要だと思う。

仕事と育児とを両立させるには?

第一に家族の理解が必要。そして、一緒に仕事をする人の理解、サポートが必要。これまで両立させてきた人は、家族等の協力があったり、託児にコストをかけてきた人だと思う。実際、稼いだ分をほとんどベビーシッター代に費やさなければならない時期もあった。家族以外のサポート、保育園や託児所、シッター確保の課題がある。

比較的時間拘束が緩和されている現場や仕事を選べる柔軟性があるとよい。

長い育休をとるより、小さい仕事でも継続していることが大事と思って、わりとすぐに復帰して続けてきた。劇場のスタッフの応援もあったので続けて来られたが、やはり、周囲の理解が大前提だった。

女性が仕事しやすい環境について

女性スタッフ専用更衣室がある劇場は、まだ限られている。専用更衣室がない場合は、舞台監督をはじめとするスタッフの配慮が必要。楽屋の配分などで考慮しないといけない。

女性管理職が少ないので、そういう配慮がなされないのではないか。

長時間労働の緩和は、女性だけの問題ではない。

舞台スタッフの中でも、専門によって異なる。照明は女性に向いているとも言われるし、時間拘束の見通しが立てやすいが、舞台監督という職種は厳しい。

立場の違いもある。劇場勤務であるか、現場ごとに勤務地が異なるフリーランスか、会社所属かで、それぞれ状況も異なる。

20年前、10年前と比べて、環境は変化してきている。舞台スタッフの専門学校などでは、女子学生の比率が非常に高い。今後、ますます女性スタッフの比率高まりそう。経験を積んだ女性が働きやすい環境整備は急務だと思う。

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