事業案内

「芸術家のための互助の仕組み」をつくろう

俳優、歌手、舞踊家などの実演家や、撮影、照明、音響などのスタッフの多くは雇用されていないため、さまざまなところから仕事を受けたり、自主企画・制作をしたりして活動しています。
芸団協は、1965年の設立以来、実演家の「社会的地位の向上」「福利厚生」を活動の柱の一つとし、仕事が不定期で、収入も不安定になりがちな実演家、スタッフが、安心して安全に働くことができる環境整備に取り組んできました。

2020年からのコロナ禍を機に、実演家、スタッフの活動基盤の脆弱さが、あらためて明るみになりました。
芸団協では、2022年度から、「芸術家の社会保障等に関する研究」を開始し、国内外の制度の研究を進めています。そして、研究のまとめとして2024年4月に、次世代を担う若者にとっても魅力ある現場となるよう、実演家、スタッフ、制作事業者が手を取り合い、実演芸術業界の労働環境をより良くしていくための「芸術家のための互助の仕組み」づくりを提案しました。
そして、2025年7月、芸団協の呼びかけに賛同した団体とともに、「一般財団法人日本実演芸術福祉財団」を立ち上げました。業界全体で実演芸術に携わる人々の福祉向上に取り組んでいます。

不定期な働き方は、実演芸術に限らず、美術家、イラストレーター、作家、音楽家などの芸術家も同様です。
文化芸術に携わるすべての人々が、誇りをもって、心おきなく活動を続けるために。
安心・安全に続けられる職業として当たり前になる未来のために。
互助の仕組みをより良い形で実現し、そして文化芸術分野全体に広げていくために。
芸団協と、日本実演芸術福祉財団の両輪で、取り組んでまいります。

互助の仕組みイラスト

これまでの経緯

  • 芸団協
  • 社会
1973年

4月 「芸能人年金共済制度」発足(~2009 年)

1989年

12月 芸団協ほか8団体が「芸能関連労災問題連絡会」発足

2007年

1月 芸団協ほか16 団体が、公演制作の統一的な安全基準の策定と普及を目的として「劇場等演出空間運用基準協議会」を発足。「劇場等演出空間の運用および安全に関するガイドライン」を策定し、「公演制作者は公演の安全管理に責任を負う」とした

2月 「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」がとりまとめた提言をもとに、「放送番組における映像実演の検討ワーキンググループ」の下に「災害補償と保険研究会」が設置される(検討結果を「放送番組における出演契約ガイドライン」に反映し、2008 年に改定した)

2020年
新型コロナウイルスが世界的に蔓延

3月 実演芸術活動の維持と鑑賞機会の回復に向けた施策を求める要望書を総理大臣らへ提出

2021年

4月 文化芸術推進フォーラム(事務局:芸団協)が、日本芸術文化振興会とともに、芸術家等のコロナ禍での状況、喫緊の課題等についてアンケート調査を実施
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4月 芸能従事者が労災保険特別加入制度の対象に

7月 文化芸術推進フォーラムがアンケート調査報告と提言を公表
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10月 コロナ禍の文化芸術界への影響を把握し、文化芸術の再生に向けた提言を行うためアンケート調査を実施
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2022年

2月 「実演芸術の再生に向けた提言に関するアンケート」報告書を公開
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7月 文化庁が「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン(検討のまとめ)」を公表

9月 「芸術家の社会保障等に関する研究会」を立ち上げ、ドイツ、フランス、韓国における芸術家のための社会保障制度について調査研究を実施

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2023年

3月 第2期文化芸術推進基本計画が閣議決定。計画期間中に取り組むべき重要施策の一つとして「芸術家等が個人事業主等として事業を継続し、専念して活動が継続できる仕組みの検討」が盛り込まれる

3月 令和4年度文化庁「芸術家等実務研修会」として制作した適正な契約関係構築のための教材(実演家、芸術団体制作者向け)を公開
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7月 文化芸術推進フォーラムが日本芸術文化振興会とともに、芸術家等の社会保障の状況及びセーフティネットへのニーズを把握するため、アンケート調査を実施
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10月 文化芸術推進フォーラムがアンケート調査結果を公表

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10月 2023年度「芸術家の社会保障等に関する研究会」を立ち上げ、日本の実情に合わせた芸術家のためのセーフティネットの在り方について検討

2024年

3月 2023年度「芸術家の社会保障等に関する研究会」が「審議のまとめ」をまとめる

4月 「芸術家のための互助の仕組み」に関する中間提言を公表

4月 文化芸術推進フォーラムがアンケート分析結果(グラフ集)を公表

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5月 セミナー「俳優の仕事と社会保障を語る~ブロードウェイ俳優、米国俳優協会会員を迎えて」を実施
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7月 文化経済学会<日本>2024研究大会にて企画セッション「日本の芸術家のためのセーフティネット構築について考える」を実施
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10月 アートノト(東京芸術文化相談サポートセンター)主催「社会保障・セルフケア講座~心おきなく芸術文化領域で働くために」企画・運営
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11月 韓国芸術家福祉財団を迎えてセミナー「韓国の文化芸術政策における芸術家福祉の意味と役割」を開催
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2025年

1月 「芸術家のための互助の仕組みプロジェクトチーム」設置、互助プラットフォームの具体的な検討開始

6月 2024年度研究報告書「アメリカ実演家の社会保障・互助制度の調査研究」を発行

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7月 事業者団体と実演家・スタッフ団体とが共同で、一般財団法人日本実演芸術福祉財団を設立

10月 (一財)日本実演芸術福祉財団 労災保険センター設立、芸能関係作業従事者区分の労災保険特別加入業務を開始

12月 「芸術家のための社会保障シンポジウム―今、文化芸術の担い手が求めるセーフティネットとは―」開催

アーカイブ動画はこちら(芸団協YouTubeチャンネル)

コラム

知っておこう!
困ったときに活用できる社会保障制度

ケガや病気で仕事ができない。子育てや介護との両立が難しい。引退後の生活が心配だ...
困った状況に直面した時、助けになるのが社会保障制度です。
芸術家、スタッフの皆さんの生活やキャリアを守るために、社会保障制度の活用方法について解説します。 NPO法人Social Change Agency代表理事、ポスト申請主義を考える会代表、社会福祉士
横山 北斗

第1回社会福祉士から見た「芸術家のための互助の仕組み」の意義と可能性
芸術家やスタッフの皆さんが安心して仕事と生活を両立し、キャリアを構築していくために、「芸術家のための互助の仕組み」が目指していることを解説します。
第2回芸術家のみなさんに知っていただきたい社会保障制度①
個人事業主として活動する芸術家やスタッフの皆さんが、もしもの時に活用できる制度にはどんなものがあるでしょうか?とくに経済的支援をご紹介します。
第3回芸術家のみなさんに知っていただきたい社会保障制度②
もしもの時に活用できる制度にはどんなものがあるでしょうか?生活に困った時の貸付、給付金、生活保護などの経済的支援をご紹介します。
第4回芸術家のみなさんに知っていただきたい社会保障制度③
もしもの時に活用できる制度にはどんなものがあるでしょうか?今回は、医療費・療養中の経済支援制度をご紹介します。
第5回芸術家のみなさんに知っていただきたい社会保障制度④
もしもの時に活用できる制度にはどんなものがあるでしょうか?今回は、芸術活動と子育てや介護の両立をサポートする制度をご紹介します。
第6回芸術家のみなさんに知っていただきたい社会保障制度⑤
もしもの時に活用できる制度にはどんなものがあるでしょうか?今回は、メンタルヘルスの不調を抱えた際に利用できる支援制度について解説します。
第7回芸術家のみなさんに知っていただきたい社会保障制度⑥
最終回は、これまで紹介してきた生活・経済的支援、医療費・療養中の支援、子育て・介護の支援、メンタルヘルスなどの相談窓口についてのまとめです。

応援メッセージ

  • アーティスト:斎藤 友佳理
    斎藤 友佳理
    (東京バレエ団 芸術監督)
    毎日が怪我と隣り合わせだから
    バレエはグローバルな芸術で、地球上のいたるところでバレエ公演が催されています。海外の主要なバレエ団は国立や州立、市立など公的機関によって運営されていますが、我が国では民間の細腕に任されています。
    日本は、世界のバレエ界からバレエ大国と思われています。それはバレエがお稽古事文化として発展してきたのが一因かと思いますが、バレエの学習人口は25万人を超えるともいわれています。海外のバレエ団で活動する日本人ダンサーも確認できるだけで350人はいるようです。優秀な人材がどんどん海外に流出していくのは、日本ではダンサーの待遇面をはじめ活動基盤が脆弱だからです。
    ダンサーはアスリートと同様、現役で活躍できる期間が限られています。毎日が怪我と隣り合わせで、いつダンサー生命を絶たれるかわかりませんが、日本ではほとんど補償がないのが実情です。私自身、国内のみならず海外でも踊ってきた経験から、彼我の違いに悔しい思いを抱いていました。
    このたび芸団協が「芸術家のための互助の仕組み」に取り組むことを知り、とても心強く感じています。バレエはもとより、今後の我が国の実演芸術の発展にとって、なくてはならないものです。一日も早い実現を切に願っています。
  • アーティスト:榎木 孝明
    榎木 孝明
    (俳優、一般社団法人日本映画俳優協会 常務理事)
    今、私たちに出来ること
    文化・芸術が廃れると国は滅ぶといいます。人はパンのみで生きるのではないとも言われます。戦争は生存をかけた戦いですが、平和を取り戻すということは、文化・芸術の復興でもあります。
    日本の現状はどうでしょう。第二次世界大戦後の日本は戦争の放棄を謳い、世界平和への貢献を目指して来ました。世界に誇れる文化・芸術を持つ日本はそのレベルの高さを範として、世界平和への貢献が出来るはずです。ただ残念ながら今の政府は防衛費を増やすことの方が、より現実的な平和への道だと言う選択をしがちです。文化・芸術への予算の低さが如実にそれを物語っています。
    今、私たちに出来ることは、戦いは戦いの連鎖反応を生むだけで、真の平和は生まれないと言うことを強く意識することでしょう。時代は戦争から平和へのシフトを促す、人類の意識の変換を求めています。そのためにも私たち日本人が、より強く文化・芸術の大事さを世の中にアピールすることが大事だと思います。
    コロナ禍は私たちに大きな試練を与えました。「芸術家のための互助の仕組み」は大きな大事な仕組みですが、それは私たち日本人に課せられた平和への貢献と言う、さらに大きな課題があった上でのことになると良いかと思います。意識の変革こそが世の中を変えていけるものと信じます。
  • アーティスト:春風亭 昇太
    春風亭 昇太
    (落語家、公益社団法人落語芸術協会 会長)
    良いプレイヤーを育てることが業界全体のプラスになる
    コロナ禍の行動制限で、戦時中でさえ開いていた寄席が閉まったのは非常に衝撃的でした。落語家にとっては、仕事を失うだけでなく、様々なタイプのお客さんの反応を見ながら話すという実践を積む、技術を向上する機会も失われました。そうした中で、一般社団法人落語協会と一緒にクラウドファンディング「寄席支援プロジェクト」を行い、1億円を超える支援をいただきました。支援はもちろんのこと、落語を大切に思う多くの方がいらっしゃることを改めて確認できたことが、何よりも嬉しいことでした。
    コロナ前は毎年多くの入門希望者が来ていましたが、コロナ以降は明らかにガクンと減ってしまいました。コロナ禍の窮状から、脆弱な業界だと二の足を踏む人が増えたのではないでしょうか。
    コロナ禍で、文化面では日本は先進国ではないと痛感しました。エンタテインメント業界全体でアーティストを支える「芸術家のための互助の仕組み」があると大変ありがたいものです。芸能をやる人がいるから、エンタテインメント業界が成り立っており、アーティスト、スタッフと制作サイドは対等、いわば共同体のはず。良いプレイヤーを育てることが、エンタテインメント業界全体のプラスになるのです。
  • アーティスト:浅野 真澄
    浅野 真澄
    (声優・ナレーター、作家)
    安心して働ける将来を
    私は声優・ナレーター業と作家業、2つの仕事をしています。どちらも魅力的な仕事ですが、同時にとても不安定でもあります。
    作家としては、主に絵本のお話を考える仕事をしています。日本の場合は、作品の完成を待って契約書を交わすのが通例で、収入は、出版後に入る印税がすべて。初版部数も印税率も、年々減少傾向です。画家さんが絵を描き上げるまで、数年間「待ち」が発生することも珍しくなく、今現在も10作近く「待ち」の状態ですが、その間の収入はありません。また、何らかの事情で出版されなければ、何年費やそうと1円にもならず、補償もないのが現実です。
    声優・ナレーター業は、完全歩合制で、出演費はやはり年々減少傾向です。アフレコの出演費はランク制度があり、自分で上げることもできますが、実際にはなかなか上げられない現実があると感じます。声を酷使するため喉の手術が必要になる人もいますが、その間の補償はありません。お休みが長引けばキャスト変更になり、居場所がなくなる。私はずっと、それが当たり前なのだと思っていました。「芸術家のための互助の仕組み」で、将来への不安が少しでも払拭されるなら、こんなに心強いことはありません。

関連リンク

お問い合わせ

この「『芸術家のための互助の仕組み』をつくろう」ウェブページは、
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS/サートラス)の共通目的基金の助成を受けて作成されています。
(2024年度-2025年度)