GEIDANKYO 公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会[芸団協] 芸能花伝舎 沖縄県

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2015.09.07

アーツマネジメント連続講座 講座⑥『芸術組織の役割、事業計画と予算』6月15日レポート

講座⑥は、継続的な活動に必要不可欠である運営について、『芸術組織の役割、事業計画と予算』をテーマに実施。
1日目は、(公社)日本芸能実演家団体協議会[芸団協]の大和滋参与を講師に迎え、事業を継続的に展開していくための体制づくりについて学びました。

DSC08945本題に入る前に、本事業の事務局を務める[芸団協(げいだんきょう)]という組織の成り立ちについてお話しました。
芸団協は、俳優、歌手、演奏家、舞踊家、演芸家などのあらゆる芸能分野の実演家団体、舞台監督や照明家などのスタッフや制作者等、芸能関係の68団体を正会員とする公益社団法人です。会長は、能楽師で人間国宝の野村萬(のむら まん)です。
実演家の権利をまもる著作隣接権の業務をおこなう【実演家著作隣接権センター(CPRA-クプラ-)】と、実演芸術の振興をはかる事業や調査研究・文化政策の提言などをおこなう【実演芸術振興部】と大きく2つの事業部で構成されています。

芸団協の会員団体に限らず、実演芸術(芸能)分野だけでも多数の組織が存在し、それぞれの理念や目的に基づいて運営されています。

では、そもそもなぜ組織は作られるのでしょうか?

DSC08950それは、一人では為しえない「欲望」を実現するためです。

しかし、欲望を実現するために集まった人々の集合体が「組織」として成立するためには、いくつかの要件を満たさなくてはなりません。

大和さんはその要件として、「構成員に共通の目的があるか」「構成員に協働の意欲があるか」「コミュニケーションが働いているか」の3点を挙げました。

そして、その「共通の目的」を定めたものが「定款」や「規約」です。
「定款」や「規約」には、目的・理念のほか、事業内容、機関(意思決定/責任と権限)、役員の選出方法、代表者、所在地などが定められています。
ここでは、大和さんが設立に関わったいくつかの文化芸術関連団体の規約を参照しながら、具体的にどのようなことが定められているのかについて確認しました。

組織は、任意団体法人の二つに分けられます。
法人とは、法律によって人格を認められた組織のことで、具体的には株式会社や協同組合など、法人として登記を行っている組織のことです。
組織として事業をするには法人格を得て展開していくのが一般的で、文化庁の助成事業にも「法人格または定款・規約を有する組織であること」が応募の要件として定められています。

法人は、株式会社や合名会社などの「営利法人」と、一般社団法人や一般財団法人、協同組合などの「非営利法人」の二種類に大別されます。
さらに非営利法人法では、不特定多数の利益増進に寄与することを目的とした「公益法人」や「特定非営利活動法人」も認可されるようになり、法人格の選択肢が広がりました。

これらの中から、それぞれの組織の目的やメリットに合わせて、営利/非営利、財団/社団などを選択していきます。
商業演劇の劇団など一部には株式会社化している組織も見られますが、芸術団体の多くは非営利または公益の法人を選んでいます。

次に、「官/民」を横軸、「公益/私益」を縦軸にしたマトリックスを使って、「非営利・公益組織」と「芸術団体」のそれぞれの社会的なポジションを確認しました。
文化施設への指定管理者制度の導入や公益法人制度の改革によって、「非営利・公益組織」や「芸術団体」の存在が「民が担う公共」の一部として位置づけられるようになってきました。芸術団体に対しても社会的な信用が求められるようになってきたとも言い換えられます。

芸術団体が法人化をする最大の意義は、この社会的な信用の獲得です。


大和さんは、芸術団体が法人格を取得するメリットについて以下のように整理しました。

●法人格により組織の性格が明確になる。
●組織名義での契約、銀行口座開設、不動産所有などが可能となる。
●個人と組織の分化が図れ、経営管理体制の透明性が向上する。


これらはいずれも社会的信用の向上に直結します。
しかし、法人格を有することにより、会議録や報告、情報公開、諸手続などの事務管理コストも上昇します。これに対応するためには、会計処理や人員配置などしっかりとした体制づくりが必要です。

ここからは、組織経営についての基本、及び組織経営に影響を与える内外の環境要因について分析を行いました。
前述の通り、組織はその理念や目的に基づき活動を行いますが、その活動過程には「同業他社の競合」や「新規参入の脅威」などの外部環境、「人材」「経営力」「歴史的蓄積」などの内部環境が複雑に関係しあっています。
それらの環境要因の影響を受けながら成長の方向性を定めていくわけですが、それを支えるのが生産戦略や市場戦略、財務戦略などのさまざまな戦略です。

そして、その戦略から具体的な事業計画を組み立てていきます。

 

DSC08963最後のトピックは、その事業計画と予算計画について。

事業活動を継続して実施していくためには、会計処理と財務管理が不可欠です。
ここでは、ある文化芸術団体の正味財産増減予算書を見ながら、どのような事業にどのような経費が計上されているのか具体的に見ていきました。

個別事業ごとの収支計画と組織収支から組織予算を編成し、事業実施とそれに伴う会計処理から計画と実際の差異調整を行っていきます。この予算編成と事業計画の関係ついては、講座4「公演を制作する―企画実現へのプロセス」において、堀内さんや乾さんからもお話しいただいた話題にも深く通じます。

「組織経営論」という少し固いテーマでしたが、これまで連続講座を通して学んできた様々な事柄を総括するものであると同時に、より実践的・専門的な内容に入っていく連続講座後半戦の先鞭をつける回となりました。

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